しかし、男の子とひとくくりされたらシュトーレンも彼らと同等に見られているということになる。争いで解決する性格ではない。
「はっきりさせてやろうぜ!!」
「…………。」
とはいえ脳内構造がここまで単純なのは非常に残念であった。アリスは「賢いわけじゃないのね。」と喉まで出掛けた言葉をそっと押し殺した。
「で、アレってなんだ?」
そうだ。まだ二人が喧嘩をおっ始めると決まっていない。シュトーレンは二人の拳と拳の殴りあいでも想像しているのだろうか。わくわくしているように見える。
「アレって勿論、じゃんけんぽんでしょう?」
「ぽ…ん?」
平然と言い放つアリスに小首を傾げる。
「じゃんけんぽんでしょう?」
彼女はじゃんけんほど公平で簡単な方法はないでしょうと返したつもりだった。
「じゃんけんぽんって、な…なんだ?」
彼はアリスの言い方に引っ掛かって仕方がなかった。だが残念ながらこれではシュトーレンが「じゃんけんさえ知らない」と思われてしまう。この短い会話でかなりの語弊が生じた。
「じゃんけんぽんって言わ、言わないの…やっぱり…。」
段々アリスは顔を赤くして俯く。まさか、察してしまった。

「じゃんけんなんて運任せなことはしないよ!」
とドルディーは無邪気に微笑んだ。
「力と頭で捩じ伏せるのが僕らのやりかたなのさ!」
同じくドルダムも微笑む。まさしく同じ顔が同じように笑っているよう。
「力と頭…頭突きか!?」
真剣なシュトーレンには悪いが、頭突きでどうやって勝敗を決めるというのだろうか。アリスは想像することも出来なかった。そしていい加減黙ってほしいとも思った。
「じゃんけんでも。」
「頭突きでもないよ。」
頭突きはさておき、じゃんけんという予想は外れた。
「興味ないけど…じゃあ何で決めるの?」
ついついアリスも本音が漏れてしまったがその場にいる者は誰も気にしなかった。
「そんなの言うまでもないよね。」
「ほんとそれだよね。」
そう言ったドルダムとドルディーは前髪で隠れた片方の目を同時に手で覆った。二人の突然の行動が謎を更に深める。アリスとシュトーレンはただ見守るしかなかった。
「「殺し合いに決まってるでしょ。」」
すると、ほんの刹那双子の体が白く眩い光を放った。
「きゃあっ!なに!?」
「うわあぁ!!」
アリスもシュトーレンも腕や手首で目を庇ったがそれも一瞬。次に見たものはとても信じられない光景だった。二人とも、頭に首に手足に胴体、全身を鉄製の頑丈な鎧が包んでいたのだから。右手には刃が広く真ん中に細い管、柄には銃の引き金がついた一風変わった剣を持っていた。
「武装魔法だよ。手持ちのもので一日三回しか使えないんだ。」
とドルディー。こっちは青のマントをつけている。顔が見えないので唯一二人を見分ける手段となる。
「ちなみにあくまで武装だから普通の服に着替えるときは使えないんだ。」
ドルダムは反対に赤いマントをつけていた。まるで金属に声が跳ね返ってるみた
い。さりげなく手持ちのものと言ってくれたが、こんなものを一体どこで手に入れたのか、アリスがとても気になるところだった。







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