声の調子もほば同じ。端から見たらほぼ瓜二つである。
「あら、貴方達…双子?」
アリスの問いにドルダムが憮然として返した。
「どこからどう見ても双子にしか見えないでしょ?」
「どこからどう見ても双子にしか見えないじゃん。」
続いてドルディーも同じように返した。一方シュトーレンは二人を目の当たりにすれば物珍しそうに交互に見比べながらアリスに訊ねる。
「こいつらそっくりだぞ!?」
彼は双子の意味すら知らなかったのだ。アリスは面倒なのでシカトを決め込む。
「双子なんて初めて見たかもしれない…ここまでそっくりなのね。」
彼女に更に呆れたドルダムはさぞ素っ気なかった。
「この国じゃそんなに珍しくないよ。」
続いてドルディーも素っ気なかった。
「男女の双子はそこそこ珍しいよ。」
鏡の国だけに鏡合わせみたいに同じ姿を持って生まれたらそれが「普通」だと思われるらしい。とはいえ度々垣間見る双子の神秘性に感動をおぼえてしまいそう。

「本当にそっくりだわ。へえ、すごい…。」
じろじろと色々な角度から眺めるアリスの視線が気持ち悪かった。
「僕らは蝋人形じゃないよ。」
「そんなに見るなら金取るよ。」
シュトーレンが間に入ってくる。
「お揃いにしてるだけかもしれないぜ。脱げばわかる!な?」
生身の体だけは偽れないと言うことを彼は主張したかっただけなのだ。ようは、脱げば早い理論。
「さすがにそれは有料にせざるをえないね、ドルディー。」
「そりゃそうだよドルダム。でも、運が悪けりゃ僕らがお金をとられることになるかもよ。」
二人は満更でもなかったが、運が悪いとはつまりお巡りさんに捕まって罰金を払うはめになること。ただし運次第のような言い方なので結局はさほどどうでもよかった。
「脱がなくていいです!」
いちいちこの流れになるのがアリスはたいそう嫌だったことか。答えはノーしかないし、深入りするほど二人には興味がなかった。
「それはそうと二人はどうしてこんなところで倒れてたんだい?」
ドルディーの質問にアリスがはっとした。
「そうよ!ここはどこなのよ!?」
答えにはってないものの、おおよその検討はついた。ドルディーが再び彼女に聞いた。
「気づいたらここにいた系だね。じゃあ、君達は誰?」
「教えてくれたら僕らも教えてあげる。」
ドルダムもまた、ものすごい笑顔だった。黙っていれば可愛いのにと思いながらアリスは渋々口を開く。
「私はアリスよ。こっちはシュトーレン。」
ついでがてらに隣の連れも紹介した。彼はなにも言わずうんと頷いている。
「僕の名前はトゥイードルディー。略してドルディー。」
青い服の方が先に名乗った。
「僕の名前はトゥイードルダム。略してドルダム。」
次に赤い服の方が名乗って、肩を組んだまま同時に頭を下げてお辞儀をした。
「ここは鏡の国四番町。」
「あれは僕らの家だよ。」
ドルディーが指を差した先には看板が二つあり、「←トゥイードルディーの家」「←トゥイードルダムの家」と記されている。どちらも同じ方向を差しているようだが、二人が住む家ならば別におかしいとは思わなかった。初見では多少引っ掛かったが。







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