仕方なくアリスはほどけちった毛糸を指に巻き付けて1つの塊を作ろうとした。それにしたって全部をほどいてしまったものだからやっとにいかない。犯人のダイナはすっかり飽きてしまい、アリスの座っていた椅子に軽々と飛び乗っては丸くなってその場所を陣取った。しかし作業に没頭してしまってはいちいち自分の飼い猫のことにまで気にしていられない。

「全く…呆れちゃうわ。いいこと?この糸が全部巻かれるまでに貴方にどんなお仕置きをしようか考えとくからね。」
せっせと左手の平に何周も巻き付けるも、やはり止まらない独り言と、考え事をしながらのさん作業がスムーズにいくわけもなく。

「そうね…例えば1日ご飯抜き!さぞかしお腹すくでしょうね。もちろん!あなたがほかの子の餌を食べないように私が一日中見張っておくんだから。…でもそれも面倒ね。」
アリスはただ、手も動かしながら俯いて真剣な表情で小さな声で呟いていた。
「おしりぺんぺんとかどうかしら。猫って叩かれると痛いのかな?だって、「痛い」なんて言わないもの。」

とだけ言って何か思い付いたようだ。
「ねえ?ダイナ。痛いって言わなければそれは痛くないのかしら?」
手を止め、堅くなくなった顔で振り向く。ダイナは金色の丸い目で椅子の上からじっと見下ろしている。アリスもさすがに猫相手に会話を求めているわけではない。少し感情的になった自分が全く懲りてなさそうな動物を改めて見てみるとなんだかひどく滑稽に感じたのであった。アリスは自嘲を含んだ笑みをこぼす。

「あらやだ、私ったら突然おかしなこと聞いちゃったわ。」
すると、また突然に今度は玄関からチャイムの音が二回程鳴った。








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