そんな三人の背後からゆっくりの石が擦れる音がした。皆が疑い半分に後ろを振り向く。壁も同然の固い硬い扉が、少しずつ、少しずつと間に隙間を広げていく。
「えぇ!?な、なんで開いたんだ!?」
「時間差なの!?」
シュトーレンもドルチェも、もう二度とその扉が開くところを見ることはないだろうと思っていたのでたいそう吃驚した。勿論、アリスもだ。
「開いたの!!?」
すぐさま扉の前まで駆け寄りさっきの定位置に戻る。他の面々も後にぞろぞろとついてきた。
「なンだよ、さっきのがやっぱり答えだったのか?」
だとしたらずいぶんの時間を挟んだものだ。紛らわしくて仕方がない。
「やったやったー!やっぱりそうなんだわ!」
アリスが嬉しそうに飛び跳ねるたびに長い色素の薄い髪と地面に散らばった枯れ葉が舞う。勢いで抱きつかれたドルチェは顔を真っ赤にして意地でも引き剥がそうとした。人見知りの彼に激しいスキンシップは慣れてないみたいだ。というより驚く所はそこではない。アリスの導きだした答えで、ひとつの逸話が真実になろうとしているのだ。
「開いたな。…どうするって聞くまでもねェよな、アリス。行けるなら行くんだろ?」
頬を擦り寄せたままこっちを向けばぱっと離れ、無邪気に微笑む。
「当たり前じゃない!ほらほら、行くわよ!」
そんな顔をされて文句を言える者はここにはいなかった。迷わずその足で駆ける。いつぞやの穴に導かれた時のように、答えを導いたアリスはまた未知なる世界へと導かれる。扉の向こう側の真っ暗闇に吸い寄せられ、消えた。
「そんな急がなくてもいいだろー。」
むしろ寄り道すらどうかと思われる中で呑気にあくびしながらシュトーレンがアリスを追った。


「僕は…。やっぱいいや…。」
扉から数歩距離を置いたドルチェは木に背を凭れ、人のいなくなった場所で扉をみつめながらあれやこれやと物思いに更けた。誰の声も聞こえなくなり、誰の気配もしなくなる。日が暮れるまでに帰ってこなければ自身もあの先へ進むか、去るかと考えていた。戻ったところで、森の中を徘徊するだけの日常にかわりはないのだろうが…。












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