「まあ、嬉しいことには変わらないわ。何より祝ってくれるっていう気持ちが嬉しいのよ。…でもみんな私が欲しいものなんか知ってるのかしら…?」
特に隠しているわけでもなかったが普段から本当に欲しい物を家族に話していなかった。話さないうちに話そうとしていたことさえ忘れていた。

「知らないとしたら何をくれるのかしら…?やだ!!知らないから何もくれなかったらどうしましょう…」
ぱっと暖炉の方を向いてすぐにまた編み物を睨む。何やら真剣な面持ちだ。
「………そうだわ。これを自分への誕生日プレゼントにしよっと!人からもらうばかりじゃなく自分の誕生日なんだから自分からも用意しなきゃ!」
アリスはずいぶん意気込んで編みかけの何かを両手で持って肘を伸ばした。
「…それまで何が出来るかわからないってのも面白いわね…うふふ、そうだと思わない?ダイナ…」
と呟きながら足元の様子を伺う。しばらく笑顔のまま固まった。
そこには大人しくしているはずだったダイナが、毛糸の玉を完全にほぐしきり散らかる糸の中で絡まりじゃれていたからだ。

「…………………」

ダイナが一瞬顔を上げる。

「………ダイナッ!!あなたって子は!!」
そう血相を変えて怒鳴っては編み物を床に置いて椅子から降り、その場に膝を折って座り込む。逃げようとするダイナをひっかまえ自分と向き合わせた。

「こんな悪いことをして!誰が片付けると思ってるの!?いいこと?貴方は片付けなくていいわ。そのかわり後できっちりお仕置きしますからね!!」
早口で説教をしてみるも猫相手だとむなしいだけで一方のダイナは前足を舐めていた。アリスは肩をあげてから呆れたようにため息とともに肩を落とす。








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