そうと決まれば三人は集まってそれぞれの意見を交わしたり各々の主張をぶつけ合ったりした。
「………………。」
帽子の中からひとつの真っ赤な林檎を手に取って一口齧りふてぶてしそうな顔で咀嚼するフェールはそんな三人を退屈しのぎがてらに傍観していた。
「…んにしてもまあ、アホやなー。呪いを解いたら言うたけどそんなんないし…おっと。聞こえたか?」
彼の呟きは聞こえてはいないようだ。
「かったこの林檎…呪いを解く方法はないてウチはあの時確かに聞いたんやからな。…実は聞いとったりする?」
案の定、聞いてもいないようだった。それでいいのだ。

「名前を忘れたならその時だけ適当に名前をつけたらどうかしら?」
「それが呪いを解く方法って言えるの?」
「うぐぅ…でも案外単純かもしれないわよ?」
アリスと少年が口々に言い合っている中で話についていけなくなってしまったシュトーレンは足元に咲いていた花をむしり取り、一枚一枚花弁をちぎった。
「あれは真性のアホや…。さて、オチもなさげやし飽きたら「嘘でしたー☆」ゆうて追い出すか。ヤリ捨てならぬ飽き捨て…ちゃうか。」
芯だけになった林檎を放り捨て、ようやくその足を地面に下ろした。
「中々思い浮かばんみたいやな。」
アリスは眉間にシワを寄せ時折溜め息つきながら思考を練っているので振り向かない。
「ねぇ…ほんとに呪いを解く方法とかあるの?」
「ないよ。」
「はぁあ!?」
少年の疑心暗鬼の問いにフェールが即答し、それにアリスが尖り声で応じた。
「おーこわ、べっぴんさんが台無しやでお嬢ちゃん。…いや、ないんやって、最初からそんなもん。」
花弁が全てちぎられた花を捨ててシュトーレンも食って掛かった。
「じゃあ無いのに俺達をからかってたってのかよ!」
「サイテー。」
少年も感情のこもってない声で続く。だが、これぐらいで彼はびくともしない。何故なら逃げ道がちゃんとあるからだ。
「答えはなくとも出口はある!」
両手の平を前に向け降参のポーズをするも口端つり上げ余裕の笑みを浮かべていた。

「ど、う、い、う、こ、と!?」
一歩、二歩、血相を変えたアリスが詰め寄る。
「そのまんまやん。いやぁ答えのない謎に必死になる様は中々おもろかったけど、飽きたから外に出したるわ。」
「飽きたからぁ!?…あ、あぁ。ありがとう。」
アリスもいつもの調子を取り戻す。感情の起伏の激しさには皆びっくりしていたみたいだが。
「じゃあ早速ついてきて。」
一同がなぜかどこか腑に落ちない顔をしていたが出られるに越したことはないのだ。フェールも皆に合わせて(彼にとって久々の)森の地を踏んで歩く。

「あっ!…関係ないわね。いまとなっちゃあ。」
今更になってアリスは、自分の中で最高の打開案を思い付いたのだ。彼女の言う通り、もう出口に向かっているの最中で口にしても無駄なのだが。







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