アリス御一行はなんだかんだでまた別の話題に花を咲かせていた。
「すごいわエリンさん!生徒会役員だなんて。」
今度は学校の話のようだ。
「無理矢理立候補させられたようなものですよ。責任も重いし、初めての友達が胃薬なんて…。」
しかし、彼の口からは愚痴しか出ない。
「イグスリ…変な名前!」
シュトーレンは本当にイグスリという名前の友達が出来たのだと思っている。二人は無視をした。
「初めて…ん?フィッソンさんは?」
アリスの問いにエヴェリンは静かに首を振る。
「あの人は…ただの同級生です。いいんです。僕も最近部活に入ってそれなりにやってますから。」
珍しく一言一言の前に迷いがなかった。
「やっぱり、美術部?」
アリスが顔を覗きこみ横から茶化す。案の定目だけを逸らした。
「はい。結構話の合う方が多くて…学校生活では…唯一の…楽しみだったり…します…。」
視線が気になってうまく喋ることが出来ない。なぜかこの中で一番嬉しそうな顔を浮かべているのはアリスだった。
「よかったじゃない。楽しいことがひとつでも出来たらそこからもっと増えるわよ。」
「はあ…そう…ですよ、ね。」
と頷くエヴェリンも釣られて微笑むがどこかまだ腑に落ちない様子だった。すると、ずっと除け者だったシュトーレンが真ん中に割り込んできた。
「俺も学校てとこ入りたい!」
話の流れで学校を知らないシュトーレンは遊園地みたいな所を想像したのだ。アリスが苦笑する。
「レンさんが入るなら幼稚園からじゃないかしら。」
またもや聞いたことのない単語に頭を捻る。
「それはさすがにちょっと…。」
エヴェリンがフォローする。勿論、冗談のつもりだったアリスは可笑しそうに笑った。


「ごめんあそばせ!!」
「待っていました!!」

道を挟んで女の声が聞こえた。皆は足を止める。半ばうんざりしていた。
「今度はなにかしら?」
溜め息混じりにアリスがぼやく。シュトーレンが謎を解いた時の探偵のようなはっとした顔でアリスの方を見る。
「女二人に俺とこいつで男二人…もしかしてこれ、ナンパじゃないのか!?」
「ごめんなさい。それはないわ。」
白い目で見ながら即答された。そして声の主が木陰からゆっくり姿を現した。
「あ、貴方達…!」
アリスのみが反応を示し、他の二人は見たことない人物を前にどうしていいかわからず黙って直立したままだ。

「お久しゅう御座いますわ。アリス様。お初にお目にかかる方、私はルージュという者ですわ。」
スカートの両端を摘まんでお辞儀をするのは淘汰の国の終わりで会った主のメイドの一人。
「元気にしていたか?…ああ、私はノアール。二人でどっかの主のメイドをやっている。」
もう一人のメイドは職業柄にとらわれずサバサバした印象を与える。仕える主だけに、誰とは明確に言えないのだ。

「こいつらとは知り合いか?」
白と、初めて見た黒い兎の耳に興味津々のシュトーレンが問いかけた。
「ええ、まあ。そんなところよ。」
言葉を濁して返す。そうだとわかれば男二人は警戒しなくていいと安堵した。
「私は元気よ。こんなところで何をしてたの?私達に何の用?」
その質問にルージュとノアールは表情を無に、右手を高らかに挙げた。








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