迷路を無事に抜けた三人はひたすら続く道を歩いた。いつの間にか横一列に並んで歩いていた。ほぼバラバラの三人は共通の話題など思い浮かぶわけもなく何を話していいかもさっぱりわからなかった。シュトーレンは話す気がない(もっぱら空気が読めない為)として、エヴェリンは話すことがまず困難だった。臆病者というより人見知りなのではないだろうか…と思いつつあったアリスは一人でもうるさいのにこの沈黙が耐えるに耐えられなかった。

「…しりとりでもする?」
アリスが提案した。
「しりとりってなんだ?尻を取るのか…やだよ。」
シュトーレンは変に受け取ってしかも断る。
「僕苦手なんです…。」
エヴェリンは普通に断り、会話が終了した。
「……はぁ…。」
思わず小さくため息が出た。せめてみんなが話せる話題でもあれば、と考える。
「…あーそうそう、忘れてた。お前らに聞きたいことあったんだった。」
急にシュトーレンが会話を切り出す。「いつも聞いてるよね…」とアリスの呟きは右から左へスルーされた。
「お茶会にいた奴等は今どうしてる?」
それにはエヴェリンもすぐに返した。
「元気にしてますよ。フランネルさんは今の時季冬眠に入っておられるのでマーシュさんの家に預けられております。」
「あら。」
アリスが反応する。
「なんでわざわざ?レイチェルさんの家じゃなくて?」
シュトーレンが首を傾げる。エヴェリンは苦笑した。
「はは…いやあ、女王討伐以降はあの人達も自由の身になったようなもんですから…シフォンさんはレイチェルさん連れて…どっか行きました。」
女王討伐をした方としては多少心に刺さるも同時に役に縛られていた者が解放されたことは素直に嬉しかった。
「…レイチェルって、誰だ?あいつの、知り合いか?」
アリスは微笑みながら返す。
「三月兎よ。…はっ、レンさん貴方も確か三月兎って仰ってたわね。」
(これも癖なのか)口を手で覆い真面目な顔になる。お互いわからずじまいでまたもやエヴェリンの出番がやってきた。
「はい。シュトーレンさんも三月兎でして…いつの間にかレイチェルさんという別の三月兎がいましたね。…そのあと全く君を見かけませんでしたが…。」
シュトーレンも真剣な顔で記憶を手繰る。

「そうなんだよ。俺もなにがなんだかさっぱりなんだ。俺はあいつの部屋に用があったから入ったんだ。」
アリスが相槌を打つ。まだ続けた。
「そこから記憶が全然無いンだよ!…あのでっかい家にお前といた時までの記憶が…途切れたみたいに…。」
他の二人はどう返してあげることも出来なかった。だが当の本人は何故か微笑した。
「…でも、いいんだ、別に。あいつが元気にやってんならそれでいいよ。」
「……………。」
アリスはそんな嬉しそうな彼をみてほっとしただろう。エヴェリンは一人、浮かない顔をしていたが。









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