「貴方に託しましたよ!」
「ひえぇ…。」
信望の目でこちらを見つめる。慣れない視線にただただキョドった。視線が泳ぐ。
「あーそうそう。その鍵は必要な時以外絶対外に出しちゃダメだよ。」
先程からリグレットの多弁に黙って傍観していたサンタマリアが厳しく口告げした。
「どこにどんなもんが閉じ込められてるか、わかったもんじゃないからね!特にこの先にいるアレ…。」
「ひええ気持ち悪いです…!」
「話しといた方がいいんじゃないのかい?」
途中二人だけの耳打ちになり、気になったアリスが割り込んで訊ねた。
「アレとはなんですか?」
リグレットは目をそらし、余程気持ちの悪い何か感じたものがなのかだんまりを決め込んだ。
「名前忘れちまったけど…とにかくでっかい花だよ。あのキ××イが花粉のいらない花を開発したんだけど…まあ、そいつを出さないこと、いいね?」
さりげなく暴言を交えつつ、腰に手を当て睨む。エヴェリンもだが、アリスもすっかり竦んでしまい2度頷いた。それ以上は何も聞けなかった。

「あ、青薔薇の君。もうそろそろお時間ですわ。私達戻らなくては…。」
すると急にリグレットが慌ててサンタマリアを急かし出す。
「ああ、そうだねぇ。せっかく久々に戻れたからもう少しこのままでいたかったけど…。」
サンタマリアもこれといって慌てる様子はないが、様子を汲み取って一緒になって自分達の持ち場へと去っていった。



「………………。」

しばらく呆然と立ち尽くすアリスとエヴェリン。そして…。
「…なあ、アリス。花粉ってなんだ?」
やはりいつも通り誰しも気にかけないところに疑問を抱くシュトーレンだった。そろそろ彼の空気の読めなさにはアリスも一言申したかった。
「あなた、少しは空気を読んで発言をしたらどうなのよ…。」
「空気なんて読めないぞ?」
案の定素で返してくる。アリスもお手上げだった。
「…アリス…。」
エヴェリンがか細い声で呼びかけてきた。
「…どうしたの?」
随分と弱々しく下手したらそのまま霞んで消えていきそうなほどで少しアリスも驚いた。
「ぼぼ、僕は…と、とんでもないものを…!!」
とんでもないもの、この世界を滅ぼしかねない力を秘めた返してくる鍵。普通の人にはあまりにも責任が重く、エヴェリンはまるで初めて凶器を握らされた臆病者のように(元から臆病だが輪をかけて)声もうわずり手も震えていた。








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