そんななかで我慢の限界だったリグレットはヒールを鳴らし歩み寄れば姿をあらわにしたエヴェリンの右手からペンダントを奪い取った。
「あっ!!しまった…。」
手のひらにあるものがいつの間にか相手に渡りエヴェリンとアリスは頭を抱える。リグレットは黄金に輝く鍵型のペンダントの紐を指に通し、細めた目で睨む。
「…やはりこれは…「自由の鍵」だわ。あの方が御来賓になる際いつもこれを持ってらっしゃるけれど…。」
「あの…それは一体どのようなものなのですか?」
アリスが訊ねると真剣な彼女に変わってサンタマリアが答えた。
「こいつぁこの世のどんな頑丈な封印も解いてしまう恐ろしい鍵だよ。普段は地にへばりついてるあたい達もそいつのおかげで歩けんのさ。」
目をきらきら輝かせて聞き入るシュトーレンを除いた二人は肩を取り合って顔をあわせまた鍵を凝視した。
「貴方…ちょっ、やっぱりあれ…!」
「恐ろしいって言ってます…!そう…あれをポケットから出したら花が、ああ…。」
鍵をサンタマリアに渡し厳しい顔つきで腕を組んで言った。
「本当にそれは恐ろしい物です。下手したらそれ1つで世界を滅ぼしかねませんからね!」
エヴェリンは生気を失いそうな顔でいまにも倒れそうだ。リグレットは続けた。
「だからこそ、「その鍵」を持つに相応しい方にしか持つことを許されないはずなのですが… 。」
落ち着きを取り戻したアリスが聞く。
「もしかして、その人はフィッソンさんですか?」
「はい。…え、なぜ貴方があの方の名前を?」
明らかにこちらを不振人物だという目で見ている。しかし、アリスは今の立場上どう説明すれば納得してもらえるかわからなかった。
「えー…僕は淘汰の国の者でして…。」
エヴェリンが怖々と口を割る。
「そこにやってきたので親しくさせていただいておりまして…。こちらのお二人も何度か会ったことがありまし…。」
「御友人でしたか!!」
リグレットが嬉しそうに手を合わせる。
「友人ではないんですが…。」
即座に否定したが聞く耳を持たない。
「だけどお友だちだから…持ち主が認めた人物でも使えるってこと?」
「それは有り得ません!」
アリスの疑問に間髪入れず返した。
「仮にそうだとしたらこの世界全ての者が使えることになりますから!」
「全ての…?」
何か感じたものがあったらしいアリスが呟くもリグレットは聞いちゃいない。
「ですが、それは本来ちゃんと持ち主しか所持することが出来ません。親しき仲であれど理由は無用、一刻も早く返さなくては…。」
「フィッソンが落としたんです。だから僕は返しにここに来たんです…あと、別に親しくもな。」
エヴェリンの言葉を遮ってリグレットが手に鍵を握らせた。







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