アリスも礼儀よくスカートの端を摘んで深々とお辞儀をした。
「私の名前はアリス・プレザンス・リデルと申します。…あちらにいるのはシュトーレン、そしてこちらにいるのはエリ…エヴェリンという者です。」
エヴェリンは後ろに隠れたまま、シュトーレンは他人事のようにぼーっと突っ立っていた。

「ほお、中々出来る子じゃないか。なあ?」
サンタマリアがリグレットに投げ掛ける。
「これぐらいのことは出来て当然ですわ、青薔薇の君。最近は不粋な方が多いのです。」
最後の方は愚痴になりかけつつもどちらも感心した様子だった。とりあえずアリスのおかげで好印象には持っていくことができそうだ。
「サンタマリアって…お、お前…まっ黒こげなんだな…!」
シュトーレンが不粋な事を言いかけた所をアリスがおもいっきり脛を蹴って阻止した。少女の力とはいえ大体の者はそこを狙われたら強烈な痛みに襲われるところで、シュトーレンも同じく蹲って震えている。
「バカ!デリケートなのよ!」
小声で咎め(アリスのいた世界ではそうだがここではそうではなかった)、精一杯の笑顔を繕った。
「おほほ、連れが大変失礼なことを…なにしろ世間知らずなところがありまして…。」
ちなみにこれは自分の母の真似たものである。妹が何かするたびこうして謝っていた。
「あ、ああ…。」
サンタマリアが若干引いていた。なぜ急に謝られたかわからないからだ。一方リグレットは誇らしげな笑顔でアリスを見据えている。
「まあ…このアリスって子。若くしてここまで配慮の出来る慎み深い子はそうそう見ません!見たところまだ「蕾」なのに…。」
そしてこっちもまさか誉められるとは思ってなかったのでどう返していいかわからなかった。
「蕾とは…?」
ぼそぼそとエヴェリンが呟く。それにはっとしたリグレットが咳払いをした。
「そうです!貴方!逃がしません…早くその鍵をこちらへ渡しなさい!」
「ひいっ!!」
弱々しい声がアリスの背中から聞こえる。シュトーレン(まだ痛みが残るが回復はした)がそっと近づき剥き出しの耳に息を吹きかけた。
「ふわあああ!?」
エヴェリンはびっくりして仰け反った。シュトーレンとさっきから様子を伺っていたサンタマリアは笑いを堪え、アリスも巻き添えを喰らい、たいそう驚いていた。









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