「んっ、ああああぁ!!!」
アリスとシュトーレンは折り重なるようにして芝生の上に倒れた。一瞬、ふわっと浮いた後に落下した衝撃もかなりのものだが、自分より大柄な体がのし掛かっている重みにも圧迫され痛みと苦しみが同時にアリスを襲う。


「…うぅ…痛い…散々よ、もう!」
草にまみれ早くも薄汚れてしまった少女の顔はたいそう不愉快きわまりないといった感じでまるで苦虫でも噛んだ様だった。
「あれ?痛くないな…。」
シュトーレンが不思議そうに辺りを見渡す。上、真っ青な空に白い雲が気持ち良さそうに風に乗って流れている。綿菓子にも見えてきた。左右…若く萌えた草ばかり。昼寝には最高な肌触りだ。そして、下にはゆるくウェーブがかったブロンド。アリスがいた。

「わあ!?アリス…潰れてないか?」
驚いて耳と背中がわずかに跳ねる。当の本人は潰れそうなぐらい苦しい。心配してくれるのは嬉しいが本当に心配してくれるならば、まずどいてほしいとアリスは切に思った。
「…潰れてるわけないじゃない。でもこのままじゃ動けないわ…。」
余計な心配はさせたくなかったがさりげなく催促する 。
「………………。」
「………………。」
しばし謎の沈黙が続いた。

「…なあ、しばらくこのままでいてもいい?」
何を思ったかシュトーレンがアリスのブロンドの髪に顔を埋める。だがびくともしない。
「ゔッ…内臓が潰れたかも…ッ!!」
突然アリスが脇腹を庇い冷や汗を滲ませこれほどない苦痛に顔を歪ませた。これには慌ててシュトーレンが立ち退く。
「え…な、内臓!!?」
どうしていいかわからず困惑の色を浮かべるシュトーレン。一方、命の危機にまで達するかもしれない程、重症なはずのアリスは知らん顔で立ち上がった。

「んなわけないでしょ。」
そう言って服についた砂埃や土などを払った。まんまと真に受けたシュトーレンはむしろアリスの演技力の高さに感心していたところだった。






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