するとユーマはレオナルドのレオナルドの手にしていた武器がつい先程見たものと違うことに気付いた。等身大の巨大な斧、しかし柄を含めた全てが鈍い金色でポールアックス仕様のものか更に大きな刃になっている。
「相も変わらずあらくたいもんがよーうつってはりますなあ。なんぞおし…何かあったんどす?」
あくまで丁重に、さりげなく挑発してみたものの方言を崩した最後しか話している内容が理解できていなかったレオナルドは新調した武器を誉められていると勘違いしてどこか自慢気だった。
「おう、コレな!用意したのがさっきの試合で使いもんにならなくなっちまって…こいつは俺の家宝だ!まさかお出ましになるとはな、ハハハ…。」
それとは反対に嘲笑を浮かべる。
「さよですか、それはたいそうな…。」
勿論、バカにされていることにも全く気がついてなどいなかった。
「ねえねえ。あの人、目を閉じたままだわ。見えているのかしら。」
指を差してフィッソンの方を向いたアリス。聞かれた方もいまいち理由がわからないのを誤魔化す為「人それぞれだ。」と苦笑いでアリスの頭を両手で前へ動かす。まるで親子のように。
「そういやユーマ、お前。「角」はどうした。」
会話の流れで時間がふと思い出したのだろう。レオナルドは人差し指で自分の額の真ん中をつつく。ユーマは薄ら笑みで首を横にふった。
「あんたには関係あらへん。まあ、名誉の損傷…とでも言うときますわ。」
そこでまたまた余計なこといいのシフォンが横から入ってきたのだ。

「一角獣の角は解毒効果があるんだってね。病で苦しんでいた村の人に自ら…。」
だが今回ばかりは最後まで言わせてはくれなかった。
「悪ふざけもたいがいにしいや!…てかなんで誰にも言うたことないのを他人のお前が知っとんねん!!」
個人的によほど知られたくなかったのか頭に巻いている布から窺える。顔も今初めて見合わせたあかの他人にそうまで隠していた秘密を公衆に暴露されたのだ。反論するも立場がない。
「僕の年齢当てたら秘密にしといてあげるよ〜!」
「もう十分ばらしたやんかクソガキ!」
確かに、今更秘密を約束してもこれほどの大多数に明かされてはもはや嫌みでしかない。出だしからプライドを滅茶苦茶にされたあげく場の雰囲気が自らの望んだものと相応しくないものに変わりつつあることにも憤りを感じた。
「ウチはこんなしょうもないことを話しに来たんちゃいますえ。レオナルド、今日こそ雪辱を果たしたる!」
堂々たる宣戦布告をしたユーマは長い右袖に手を弄り入れる。きっと彼も服の中に武器を仕込んでいるのだろうと興味深々の眼をまっすぐ向けるアリスだが、そこから出てきたのは彼女の想像を遥かに越えた刃渡りが長い細身の剣、レイピアだった。袖の中に隠してったとしたら相当邪魔だろうに。
「そんな爪楊枝みたいなもんで俺様に勝てるとでも思ってんのかァ?」
レオナルドの言う通り、彼の巨大な斧の前にその差は歴然としていた。しかし、ユーマは余裕綽々な相手に切っ先を向けた。
「力が力でしか捩じ伏せられんと思とるあたりめでたい頭しとりますなあ、ほほほ…。ほな、行きますえ!」
直後、右足を滑らせ前へ直進して一気に間合いを詰めた。体格に差はあれど身長はほぼ同じ故に無理な体勢を作らなくて済むのが利点。肘を伸ばして急所のひとつ、頸動脈を狙った。
「いきなりそこかよ!…ちょろい!」
見切って、全身でかわす。レオナルドには今の攻撃は止まっているようにも見えるほど遅かった。だが武器自体が軽く扱いやすいとはどういうことか。つまり、連続攻撃がしやすいのがまた利点である。右へ左へ、首や腹を狙っては前進しながら刃を突き出す。

「おおっとユーマ氏!力だけの相手に振り回されているぞ!?」
司会の実況がレオナルドの士気を鼓舞した。一瞬の隙に斧を横に振り払う。ユーマは身を屈んでよけ、刃は空を切った。







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