アリスは「誰だろう」と心に疑問を抱きつつも小走りで駆け寄った。
「はーい。」
ぱたぱたと足音。躊躇いなくドアノブに手をかける。まさか、誰がそんな堂々と入ってくる時に「そんな危ないもの」を笑顔で振りかざすものか。
「…きゃああ!!!」
悲鳴を上げながら咄嗟の事にアリスは壁にぶつける勢いで体を捻ってかわす。反射的に目を強く瞑ったがおそるおそる開いてみる。

「…あはは、失敗したなあ。」

そこにいたのはフードを深く被った、声と体格からしたら成人はしているだろう男性。顔は明確には伺えなかった。なのに感じてしまう恐怖と、狂気。手に握られた凶器はまさしく狂気。あり得ないのだ。あり得ない状況、自分が遭遇するわけがないという状況下に自分がいるのだ。

「あ…な、なに…!?」
怯えた瞳で壁をつたい後退りする。男は口元に不適な笑みを浮かべ一歩、また一歩と詰め寄る。蛇に睨まれた蛙のようだ。しかし、このままのわけにはいかないとすぐさまアリスを次の行動に走らせた。
「いや…っ!!」
されどそれは正常な判断ではなかった。無理矢理に思考を巡らせた頭は混乱してなにをしでかすかわかったもんじゃない!アリスは逃げた。リビングに逃げた。

「まあ待てよ!!」
余裕に満ちた男は凶器<ナイフ>を片手にすかさず後を追う。
「いや、こっち来ないで!」
そう、リビングには玄関に通じる大きな窓がある。そこを抜けて一通りの多い所に駆け込もうとしたのだ。慌てて開けようとした。だが、鍵が開かない。
「ん…っ、えっ、なんで?どうして!?」
どれだけ力を入れても開かない。何かに壊されたのだろうか見覚えはない。必死になってるとリビングにはもう男がいた。









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