「レディーに歳をお訊ねするものではない…とは言いますが、おそらく妹さんはまだ幼いでしょう?きっと歳が離れすぎていて大人に叱られてるように思ったのでしょう。」
あまりにも丁寧かつ紳士的な態度にアリスは「なぞなぞ」を吹っ掛けられたのかと錯覚した。シュトーレンは理解しようともしない。なぜなら彼には家族さえいないのだから。
「ええと、でも私は別よ。なんて言ったらいいのかしら。」
「妹さんも、貴女ぐらいに成熟した人間になればきっと「叱られることの意味」もわかってくるでしょう。」
アリスは返す言葉がない。叱られることの意味は彼女でさえわからない。だが、彼が間違ったことは言ってるとは思わなかった
。ただ、大人の言う理論が子供には難解なのだと感じただけで。
「……………。」
そんな彼の妹であるツバキは何も言わず無表情でアリス達の方をみつめていた。
「ふふ…なんにしたって、例外はあるものですが。」
突然、サカキはしゃがみこんでさっきからびくともしない双子の鎧の留め具を外し始めた。それぞれうつ伏せに倒れて全く動かないものだからすっかり忘れていた。
「飛ばして正解ですね。案の定気を失っている。」
「ああ…だからか、なるほど。さすが兄さん。」
ツバキはその様子を眺めてるだけだ。サカキが馴れた手付きで頑丈な鎧を剥いで最後に兜を外す。絵にすると目が渦を巻いて頭の上にヒヨコでも飛んでそうな、気絶して生気を失った顔をしていた。
「双子の場合はどうなのかしら。」
アリスの問いにサカキは鎧を近くに投げ捨てながら答えた。
「この子達はまた「ちょっと違います」から…。」
あろうことかドルダムの服を捲り上げズボンを下ろしたのだ。
「わ、わあああああっ!」
アリスは大袈裟に両手で目を覆いとっさに一歩後ずさったりした。年頃の少女には多少刺激が強い…はずなのだが同年代に見えるツバキはまだじっと見下ろしていた。
「いやはやすいませんねえ、お見苦しいところを…。」
と苦笑するサカキ。するとツバキはスカートをつまみ軽く揺す。すると二つの大きなゼンマイが地面に落ちた。アリスはそれどころではなく、シュトーレンは耳を跳ね上がらせる。
「ガキのケツぐらいどうってことないでしょ。」
ちなみに、露出しているのは背中が主でズボンも下ろしきっていない。しかしサカキも少し引き気味に顔をひきつる。
「椿…挿すのは背中です。あと、ケツだなんてお下品な言葉遣いはおよしなさい…。」
ツバキは文句も返事もなしにゼンマイを持ち上げるとドルダムの背中に突き立てた。シュトーレンは思わず「うわっ」と声を漏らす。時はすでに遅い、ゼンマイはまっすぐ背中に刺さった。でも決して刺したわけではない。
「ざまあみろだわ。ん…しょ。」
毒を吐きつつゼンマイを力一杯回す。シュトーレンが恐々と覗きこむと、ドルダムの背中には金属の小さな穴があった。ゼンマイを差し込んだのはその穴にだったのだ。
「なんだこれ!穴があるぞ!?」
「や、やめてぇ〜〜〜〜。」
力の無い悲鳴を上げながらアリスはしまいにシュトーレンの背中に隠れた。
「俺にはないぞ、アリス。」
「ぇ゙え゙っ!?」
会話が噛み合っていないことなど知らずシュトーレンの言葉に濁声とも取れるなまりの強い声が漏れた。







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