■ 15

ただ、おかしなことに片手には虫取り網と縄を持っていた。虫取り網の中には葉っぱが数枚入ってしまっていた。

「白兎は!?」
派手に擦りむいただろう膝もそこそこ痛いと思われるが本人はそうでもない(そんなこと気にもならないのかもしれないぐらい)のか素早く立ち上がって神経を尖らせ周りを見渡す。

「ちっ…マジかよ〜、見失っちまった。」
獲物を逃したらしく頭を掻いて深くため息を吐いて項垂れた。
「そこの坊や。」
えづきもおさまりいち早く冷静さを取り戻したシフォンが体裁ぶってそこの少年に声をかけた。少年は振り向くと怪訝そうに眉を寄せた。
「お前も坊やじゃん…」
シフォンもその反応には多少慣れている上に相手は初見の他人。そこで激昂するほど子供ではない。
「心はいつでも童心のままの21歳さ。」
「見た目は子供だぞ!!」
シュトーレンが口を挟んだせいで「心はいつでも童心のままの見た目は子供だぞ!!」に聞こえてしまったがいらない情報は無視した。

「…まあいいや。あれ?なんかこのメンツってもしかして…お前帽子屋だろ!」
そう言って少年はシフォンの方を指差した。
「そうだとも。」
とだけ返した。動揺は全くしない。次にシュトーレンを差したら
「そんでこいつはおそらく「話通りでは」三月兎でその隣で寝てるのはヤマネだ!」
とフランネルを一瞥して言い張った。シュトーレンは目を丸くして呆然としている。


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