■ 5

フランネルはねぼけ眼を擦りながら不満げに文句を垂れる。
「…たまには自分で取りに行ったら…?」
「嫌だね。」
一秒の間もなく即答され、行きたくないの意思表示として腕まで組んでるものなら何を言っても無駄だろうと渋々身体を起こしてふらふらと家の中へあるものを取りに入った。

「なに取りに行ったンだ?あいつ。」
傷も生々しい耳をぴんと真上に立てたままシュトーレンは退屈そうにネクタイを弄りながらたずねる。
「なにって…救急箱だ。ったく、お前が余計なことばかりするからもう絆創膏も切れそうだよ。買いにいかないと…面倒だなあ…。」
気が滅入ったのか答えてすぐの時はまさかと言うように顔を見上げたが最後の本音あたりで頬杖をついた。
「面倒なのか?近いじゃん。お前の足はなんのためにある?」
そう返すシュトーレン。しかしながら、どこか言い方が気に入らなかったらしい。シフォンの顔がやや険しくなる。
「お前を蹴る為にもある」
「……ごめんって。」
反射的に謝った。悪気がないのはわかっているのでそれ以上は言わない。

「いや。僕の足が主に何のためにあると問われたら、僕を自由にするためにある。ということだ。つまり…」
いつしか夢中に聞き入ってる相手に思わず目を逸らしつつ
「…その足をどう使おうがそれもまた僕の自由、だということでー…。」
とシフォンは続けたが
「…まあ、君も五体満足なら思う存分僕のために使うこと。いいね。」
と自信なさそうにあと足しした。勿論、シュトーレンもそれを鵜呑みして
「わかった!」
と答えた。シフォンの罪悪感は更に増す。「結局僕は何が言いたかったのだろう」と。



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