■ 3

弾は威力を弱めたものらしいが、二人のちょうど間を通り抜けた先の樹に命中した。

「「……………」」
劈く銃声、剥がれる皮、そして何より目の前を弾丸が音速超えて過ったこと。シュトーレンとアルマはしばしお互いの顔を茫然と見ていた。
一方で驚いているのはこっちの方もだった。
「いきなり現れるんじゃない!挨拶ぐらいはしたらどうなんだ!」
狼狽からかなりいきり立ったシフォンがくってかかるが現れた人影…チェシャ猫はといえば相手の反応にとてもご満悦な様子だ。
「ああ、こんにちはって言えばよかったかな?」
「…………」
実際挨拶に変えたところで変わりはしないと、シフォンは自分にも呆れてしまった。
「挨拶は出来るみたいだからこれからは空気を読むという事を学んだ方がいい。」
それに対しチェシャ猫は
「空気なんて読めないよ。」
と返してシフォンの隣で熟睡しているフランネルの背後に忍び寄る。
「お前は…」
まだ文句を言いたそうにしたが、さりげなくフランネルを狙っていたチェシャ猫をどうにかすべきと長い尻尾を掴もうとした。

「あー!!チェシャ猫だー!!」
突如向こうからアルマの嬉々とした声がした。


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