淘汰の国のアリス | ナノ

「…ねえ、なんで私の名前を知ってるの?」
「この穴に落ちた奴はみんなアリスだと決まってるからさ」

すかさず答えが返ってきたが、アリスの求めていた答えとは違ったためなんだか腑に落ちないようだった。それでもちゃんと返してくれたので他に聞きたいことを聞いた。
「…あなたはなんでそんなに落ち着いているんですか?」
「まだ着いてなどおらん!!」
今度は先程より早く、しかも叱り付けるように返ってきたのでアリスは困惑した。しばらくしてから白ウサギが口を開いた。
「………と、帽子屋か猫なら言うのだろうが。私は違うぞ。」
こほん、と咳ばらいをしてからこう続けた。
「私は何回も同じようにこの穴を落ちている。だからもう慣れたもんさ。慣れないうちは今の君のようにそれはもう怖くて…」
「何回も落ちてるってことは死なないのね!?」
白ウサギが喋っているのを割り込んでアリスが問い返したせいか機嫌を損ねたみたいで深いため息をついた。

「はぁ〜…せっかく人が答えてあげてるというのに、割り込んでまでまた質問で返してくるかい?」
「…ご、ごめんなさい……。」
穴に何回も落ちる、つまり生きられる嬉しさに思わず気持ちが素直に出てしまい、アリスは相手の気持ちを察し少し怯えながら謝る。白ウサギもそれを理解し、すぐにと話を切り換えた。

「この穴は不思議の国へ行く為の唯一の通行手段だからね。落ちて死んでもらっては困るし、落ちて死んだ奴なんか聞いたことない。というか死なない。」
「でもあんな高い所から落ちて無事なわけないじゃない。」
「…まあ、物理的に考えたらそれが一般論だ。」





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