淘汰の国のアリス | ナノ

「毛糸をむちゃくちゃにするのは日常茶飯事よ。」
「あー!それやるやるー!」
特に子猫で遊び盛りのダイナはアリスが何回毛糸をまとめてもそのたびにじゃれるのだから編み物も落ち着いて出来たものではない。叱り付けたって懲りやしないのだ。
「変わりにボールをやってたらずっと遊んでるけどねー」
「猫じゃらしとかいいんじゃないかしら。」
夫人は小首を傾げる

「ねこじゃらし…?聞いたことないわ…」
アリスは意外と言わんばかりの表情だ。
「植物よ!きっとそこらへんに生えているわ!」
「…へえ〜…」

しばらく何かを考えているようだ。猫じゃらしのことでも考えているに決まっているのだからそんな夫人を見てクスクス笑っている。

「じゃあ今度探しに行ってみるわね。」
「猫をじゃらすのかい。」

突然誰かが頭だけをひょっこりと出した。


つい先ほどより落ち着いた登場に誰ももう驚きはしないし少年も今まで何事もなかったかのように夫人の少し隣に腰を下ろす。

「その方が…チェシャ猫…?」

そっと傍らに座っている少年を指差す。少年はこれもまた呑気に大きい欠伸をしている。夫人は微笑んで「そうよ、かわいいでしょ」と返した。

「ええ、とっても……。」

猫の耳と尻尾が生えているから猫…と、今まで似たような連中を続けて目の当たりにしたアリスならそう言い切れた。が、どうも動物らしい色をしていない。紫、尻尾に至ってはピンクとの鮮やかなしま模様を描いている。マーシュならネズミ、アルマなら犬、チェシャだけは猫と断言できないのだ。だからわざわざ丁寧に猫と付けられているのか。
靴下に黒い革靴。首輪に鈴とリボン、尻尾にも金色と同じ赤いリボンの飾りをつけてたりと見なりは割とちゃんとしているどころかちゃっかりお洒落までしている。さすが夫人のペット、という感じを醸しだしていた。

髪は濃い紫で無造作にはねている。釣り上がり気味の丸い猫みたいな目。チェシャが猫だと認めたが「飼われている」という雰囲気が全くしない。





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