淘汰の国のアリス | ナノ


「あーやんなっちゃうなー。」
そう呟きながらぼーっと空を眺めている頭部が蛙の執事が木の株の上に座っていた。正確には蛙の着ぐるみを頭だけかぶっており、身体そのものは人間で更にえりからちらちらと肌色が覗いている。

アリスは、「なんだ、人か」と落胆するどころか「なんて面白い格好をしているの!」と食いつき、人の気配に気づいたのかこちらを向くなり慌てて立ち上がりびしっと背中を伸ばした。アリスは躊躇いもせずにっこり微笑み話しかける。

「こんにちは、蛙執事さん。こんなところで何をしているの?」
あえて見た目には触れなかった。しかし、蛙執事と名付けられた時点で既に指摘されいると思いあたふたと身振り手振りしだした。
「…あわ、あわわわこれ、これはですね!その決して私が好きでやっている訳ではございませんん!」
アリスはうっかり聞いてしまったことをつい申し訳ないとさえ感じた。
「…あ、そうなんですか…。」
「わ、わかっていただいたあああ!しかもあっさりと!よかったあぁ…」
大きく安堵の息を漏らした。わかってもらってもいないしお互い食い違ったまま話は流れた。


「…あなたは…」
「はい?」
今度は向こうから聞かれ少し驚いた。

「あなたは…もしかして…アリス様でいらっしゃいますでしょうか…?」
「…は、はい!私はアリスですけど…」
「…なんと!貴方様が!!」
蛙だけに一歩バックステップで後ろに下がらしばし挙動不審に首をせわしなく振ったり時々「えええー!」や「おそろしやー!」などと言いながら今度はぐるぐると駆け回りはじめた。





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