淘汰の国のアリス | ナノ



「きーのこー、きーのこー…おーいしーいきーのこー♪」
森の中、楽しそうに高らかな少女の歌声だけが聞こえる。

「きーのこー、きーのこー…はーごたーえもよしー…きー…のこー…焼いたらうまい…」
楽しそうなのは続かず

「………ナンセンスだわ!!!」
の一言で終わった。きっとこれ以上の続きが思い浮かばなかった…いや、それでもいつもなら全く関係ない単語を引っ張り出し違うものになっても無理矢理繋げるというのに。酷く退屈のようだ。こんなものでアリスの退屈は紛れたりはしない。

「…はあー…腰が重いわ…。」
大量に摘み取ったのキノコのせいでポケットはいびつにでこぼこして重みで下に下がっている。
「調子に乗っちゃった…虫さんの食べる分なくなったかも…て、虫ってキノコじゃなくてどちらかといえば葉っぱが主食なんじゃ…」
葉っぱなら嫌ほど周りに生えている。多分一生は大丈夫なほど生えている。心配するには至らない。

「…そうだ、私が縮んでなかったとしたら…なんて大きなキノコだこと!あんなの食べれたとしても調理の仕様がないわ!」
シグルドはランプまで建て付けて立派な住家にまでしていた。

「この国では大きければ家にさえなるのね…。家にしたら色々足りないけど。例えば雨が降った時とかどうするのかしらね。」
しばらく佇まいについてうーんと考えながら歩いていたが「かさの下に雨宿りできるわ!かさだけに傘みたいに!」とちょっとした駄洒落まで思いついてしまった。なかなか自信作なのか得意げな顔になっている。誰も聞いちゃあいないのに。

「あら、あれは何かしら!」

アリスは目の前に何か見つけ立ち止まった。



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