「…あ、あの……」
そうわかったきり、自分の勝手な思い込みで相手を責めてしまったことを大きく悔やんだ。
「道も広ければ木々もこれほどに高い。勘違いしやすい環境でもあるかもしれん。」
「……あ、…ご、ごめんなさい!!その…言いすぎました!」
後からフォローされ余計に罪悪感を感じ、慌てて頭を下げてめいっぱいの声で謝った。
「…はあ、近頃の若い者は…」
とぼやいているも十分に若い者に見えるので相当中身が老けているのか…とまたいらぬ考えを拭い捨てアリスはぱっと頭を上げた。目には涙をためている。頬と鼻は赤く腫らしている。それを見てどう反応していいかわからず戸惑い、「あー…」とか「うーん…」とか唸っていたシグルドもなんとかこの状況を打破したいと思考を巡らせている。アリスはアリスで相手の反応をじっと待っていた。
「…わかってくれたら…いいんだ…」
我慢できずため息混じりにそう言った瞬間、アリスの表情は一気に明るくなる。その豹変ぶりにシグルドでさえぎょっとした。
「お前…さっきのは嘘か…!」
「いいえ!」
「許してもらえて嬉しいの!いや、あなたなら許してくれるんじゃないかなって信じてたもの!」
「…………………。」
あんなに立ち直るのが早い人間などいるのか。実は計算高いのか。それとも人を見透かすのが得意なのか。
あるいはただ純粋なだけなのか。
「…私にはますますアリスというものがわからなくなってきた。」「何か言ったかしら?」
考えていたことがつい口から出てしまった。だがアリスにははっきりと聞こえてないようだ。
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