しかしながら、アリスの身体は全くさっきと変わっていなかった。気づけば貰ったキノコも食べ尽くしている。なのに今だに目に映る景色も変わっていないのだ。
当然、アリスは怒った。さいしらやたら馬鹿にしたような態度だが本当に馬鹿にしていたとは、信じきっていた自分にも腹を立てたが何より騙した相手にそれ以上に憤怒した。
「…ちょっと!!!あなた私を騙したの!?」
シグルドは黙って見下ろしている。余計に怒りを煽らせた。
「黙ってないで何とか言いなさいよ!人を馬鹿にして見下して楽しいわけ!!?」
「だから言っただろう、変わってないと。」
「…変わってないわよ!ほら!!」
アリスは胸に手を当てて自分の状態を主張する。だがそれさえも全て見透かしたかのようにシグルドはキセルを吹かしながらただじっとその様を見下ろしてからこう言った。
「お前は元から何も変わっておらんではないか。」
「……………?」
アリスは「何を言ってるの?」と言っているような困惑した顔で黙りこむ。そして更に続けた。
「最初は縮み、次に巨大化したり突然的に身体に変化が続いたせいで普通の状態がわからなくなってしまっていたのだろう。お前が自らを過度に小さいと言うがそんなに小さければ私からお前の姿をはっきりと確認するのは難しい。」
「………。」
アリスはまたもやシグルドの正論すぎる正論に黙って理解しか出来なかった。そうだ、あまりにも極端にでかくなり小さくなりの繰り返しで感覚がわからなくなっていたのだ。つまり、度を越して巨大化した為縮んだ時も「また小さくなった」と勘違いしていたのだった。
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