淘汰の国のアリス | ナノ

とは言え自分で何とか出来るものならどうにかしたいものだが、それさえもわからないアリスはもはや途方に暮れていた。

「……………でも……」
何か言いたそうにするが、きっとまた厳しく正論で返されるのだろうと考えれば言葉よりため息しか出なかった。

「……………。おい、娘よ。」
しばらく様子見していたシグルドもさすがに見兼ねたのか呆れ顔で声をかける。コートのポケットに手を突っ込んで何か探しているようだ。

「………え…?」
かすかに期待しながらふと顔を上げる。その時、上から何かが落ちてきてちょうどおでこの真ん中に当たった。それはコロコロと転がり落ちるがアリスは痛さと惨めさに額をおさえて下を俯き涙目になっていた。

「ひとまずそれを食え。身体に残る毒や異常を全て浄化する効果がある。」

アリスは足元のそれを拾った。一見、特になんともないそこらへんに普通に生えてる美味しそうなキノコだ。秋になったら大量にお店で見たりする。

「…こ、これが……?」
半信半疑で呟くアリスに対してシグルドの方は堂々としており
「そうだ。」
とだけ言った。ふざけているようにも見えないし、しばし色々な角度からじろじろ見るがそうしても仕方ない(というか急かすような視線に耐えられない)ので思い切ってかさの方から一口かじった。

「自分がどのような姿だったかをしっかり頭の中で思い出しながら食べるんだ。」
「………………………。」
アリスは強く瞳を閉じ、この国に来る前の自分を思い出した。思い出しながら、味もない乾いたそれをもう二口と食べての繰り返しだ。

「お姉様よりは少し低い…でも妹の……は…メリベル……えっと……エイダは私より……!私は……私は……どんなのだっけ…?」

途中で余計な事まで考えてしまい思考が複雑になり、一旦アリスは目を開けた。







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