バキッ
「…………!?」
木が割れる音にピーターとそのあとを追ったメアリーは立ち止まった。
メキメキメキ…
「………なんっ…なんだ、この音は…!」
「………ご主人様!!」
とっさにメアリーに腕を引っ張られた。次の瞬間、木の巨大な塊が激しい地響きと共に先程二人がいた場所に落下した。もくもくと砂埃を立てて地面に横たわるようなそれをただ呆然として見ることしか出来なかった。
「……あっ、うわ……。」
何が起こったのか全く状況が理解できず目を見開き口をぱくぱくさせている。メアリーは既に「何が起こったのか」、その大元の原因を心配そうに見つめていた。
「…ご主人様…、あれを…。」
あれと言われたものが何かはすぐにわかった。しかし、とても信じたくない光景だった。
先程までいつも見る自分の帰るべき場所。それが突然見慣れない姿に変わり…いや、一瞬の間に壊れていってるのだ。窓枠は外れ、家を構築している木々がぼろぼろと崩れ落ちてゆき、落下してきた衝撃で粉々に砕けたものもあった。
一体何がどうなってこのようなことになるというのか。地震が起きてもないのに普通の家がこうもたやすく崩壊するわけがない。老朽化するほど古くもない。何が何だかさっぱりわからないままただただ傍観することしか出来なかった。
しまいには家の特徴でもある煙突がぐらりと傾き、いきなり下から蹴り上げられたように少し飛んでそのまま落下した。
「…ぼ、僕の家がああああぁッ!!!」
思わず悲観的な表情で頭を抱えて叫んだ。それさえも轟音に掻き消され虚しく響くこともなかった。
「…うっひゃああああぁ!」
気の弱そうな悲鳴を上げながらへつなぎをきた男がこちらへ向かってきた。
「大変ですご主人…!家が…家がああぁ!」
涙目でピーターにしがみつく男に悲しみが怒りに変わり爆発した。
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