淘汰の国のアリス | ナノ

アリスはそのボトルに貼ってあるラベルを見た。

「DRINK ME」

「私を…飲んで?」
「アリスを飲むのか?」
ボケか素かわからないリアクションを「んなわけないでしょ!」の一喝で黙らせ、他に何か書かれてないかを確認する。だが他は何もない。よほど私を飲んでほしいみたい。

「ドクロのマークはないみたいだけど…何かわからないから怖いわね。」
「私を飲んでってあたり怪しい。」
学校の先生からは理科の授業で「ドクロのマークのついた液体は危険なので絶対に飲んではいけません、触れてもいけません」と何度も何度も言われ続けていた。実際危ないとわかったものにはわざわざ手をつけないが、これには危険だという証もなければ触れても何も起こらない。

なにやらデジャヴのような気もした。

「…!私…このパターンでこうなっちゃったんだった…!」

「私を食べて」と主張する食べ物を食べてしまってから今のような姿になったことを思い出す。考えてみると、ケーキにはそのような表示もなかったのにこんな事態になったのだ。表示があったら手を出さなかったかもしれないし、逆に表示が無いからといって無害なわけではない。つまりは習った知識に縋ってただけだったのだと気づくとものすごくやる瀬なくなる。

「…あ、そうだとしたら…!チャンスよ!」

アリスはひらめいた。同じパターンでいけば、これを飲めば大きくなり元に戻るかもしれない!一度小さくなったら次は大きくなる。自分にぴったりのサイズで落ちてたんだもの。これは偶然、いや奇跡だ!嬉しそうに急いでコルクのふたを抜いた。

「どうした?」
様子を尋ねるアルマの声も耳に入らず、アリスは祈りながら、ぎゅっと目をつぶって透明の液体を口に流し込んだ。



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