淘汰の国のアリス | ナノ

「わかったわ。元に戻ったら沢山遊んであげる!」
「今のお前で遊びたい。はじいたらどれぐらい飛ぶかな」
「…………………。」

アリスはその話にらもう何も触れなかった。触れてはいけない気もした。


その時、どこからかガサガサ葉っぱが擦れる音が聞こえた。それは少し離れた所からだ。青年は耳がいいのかその音がどの方向からしているのを瞬時に把握た。吠えるような大声で叫ぶ。尻尾は立っていた。警戒をしている。

「おい!誰だ!誰なんだ!出てこい!!」
「待って!あまり挑発したら…!何が出てくるかわからないじゃない!」
アリスの静止する声には気づいてないようだ。

「うるさい!野良犬めが!!」
声のした方向からピシャリと叱り付けるような声がした。青年は吠えるのをやめたしばらく訝しげに前を睨んでいたが、聞き覚えのある声に強張った体から力を抜いた。
「確かに獣の臭いはした…この声は…!」
アリスもわかった。やっと会えたのでその名前を呼ぶ声のなんと嬉しそうなことか!
「ウサギさんだわ!!」

いますぐにでも駆け寄りたいぐらいだが今の自分ではどう考えても無理だ。
「あのウサギさん!…道であなたのつけていた手袋を見たんですが…」

「なんだねメアリー!私は今すぐに動ける状態にないのだよ!」

「お前…メアリー…ていうのか?」
青年はアリスを不思議そうに見下ろす。だが当の本人は呆気にとられ首を横にぶんぶん振って勢いよく立ち上がり主張した。

「私はアリスよ!あなたからもそう言ったのよ!?」
「何をほざいておる!メアリー!早く私の手袋を取ってこないか!」
可哀相に。こんな小さな体からいくら叫ぼうと声量まで小さくなってしまったのだから向こうまではっきりと聞こえるはずがない。おまけにそのメアリーという人と勘違いされているようだ。





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