淘汰の国のアリス | ナノ



「青虫の所に行けばいい。」



「…は?」

青虫といえば、そこらへん…例えば畑の中の野菜や葉っぱの上ではいずり回っている所しか見た事ないし、そんなイメージしかない。たまに家の庭でも何度か見た事ある。姉のロリーナや友人は青虫を見る度悲鳴を上げたが一方でアリスはむしろそれを掴んで追いかけ回したりした。
今思えばなんとはしたない事をしたんだろう。しかし好奇心の塊であるアリスは虫などで見くびるような少女ではないのだ。


だがそれとこれとはまた別で、歯を食いそれ以外に何か出来ることが出来たとしても、自分の記憶上では青虫に人の身体の大きさを変えることなんか出来るはずがない。

「青虫よ?虫にそんなこと出来るわけないじゃない。」
「青虫は出来る。あいつ頭いい。」

ワンランク上の青虫はそんな魔法みたいなことが出来るのだろうか。人間のどんな科学者でも不可能なことを。

「あいつ、キノコに詳しい。この国にはいろんなのある。きっとお前にぴったりのキノコをくれる。」
虫は菌蕈類は好きなのだろうか。キノコというのは毒があるものは大変危険だということはよく知っており、見分けは難しく専門家の人でなければ迂闊に適当に食べてはいけないということも承知している。

でも不思議の国だから。

そう思いさえすればいいのだろうが、だからどんな毒キノコがあってもおかしくないわけで。

納得いかない様子のアリスに言った。
「身体でかくするキノコぐらいある。俺も、お前乗せたままはもう限界だ。」
「!?…えっ、私そんなに重い…あっ、片方使えないもの…。」
考えればある意味で青年には迷惑をかけっぱなしで、それを含めて早く戻らなくてはならない。


「遊びたくて仕方ない。」
真顔で言われた。迷惑はかけてないどころかアリスをおもちゃと思っていた。実は人懐っこい性格らしい。





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