淘汰の国のアリス | ナノ

「…っていうか白ウサギに何の用だ?」
「あーそうそう」
『不思議の国のアリス』、その童話と同じような前フリに挙げ句には「ついてきて」と言われたのでこの国に誘ってくれたのだからきっと彼に会えばまた何かあるはずだし、一人でウロウロするには怖いのでついていくしかない…だが最終的には「はぐれた」で終わり「彼を」追う理由にならなくなっとしまう。しかしアリスは白ウサギに会わなくてはならない理由を思い出す。

「手袋!」
「手袋?」

「白ウサギさんったらうっかり手袋落としちゃったの。私が追いかけようとしたら早くて早くていつのまにかはぐれてしまって…。」
「へ〜え…。」
青年はアリスの話にさほど興味がなさそうだ。

「これなんだけど…まあ可愛い手袋だこと。でも…あ!私よりちょっと大きい!」
話より手の平の上でちょこちょこ動くそれの方に興味があるみたいで真顔だけどつつきたくて仕方ない(アリスは気づいていない)。
「でもそんな小さな手袋さすがの白ウサギでもはめられないよ。」
「まあ失礼よ!」
「だって手袋もちっさくなってる」
「まあ!…ああ…ほんと」
そうだ。
ポケットの中でなんら違和感がなかったのも、アリスも一緒に縮んでしまったのだ。服も身体に合わせて縮んだ時点で気づけばよかったものを!自身が一緒に戻らなければこの手袋だって指の先にも入らない。なんと哀れなことだろう。青年はそれにも興味がない。

「あ…あああ…私のバカ!なんておバカさんなの!全て自分を軸に考えてたのがいけないのよ!おかしいのは、変わってるのは「私」なのに…!んっ、んわあぁぁっ」
頭を抱えて酷く落ち込むアリスの頭を指でぐりぐり押す。青年は撫でているつもりらしい。
「元に戻ればいい。」
アリスは訴えるように言った。
「でも…どうしたらいいかわからないわ…!!」
しばらく何か考えた後、青年は相変わらず指でつつきながらアリスに唯一の提案をした。






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