淘汰の国のアリス | ナノ

「ウサギの家、そっちじゃない。」
「そんなこと…あっ…」
アリスは道を大きく外れ森の中をさまよっいたので正しい道を見失っていた。
「それに、ウサギに家があるって、なんで思う?」
「あんな見なりをしてるのに家がないわけないじゃない。」
「なんで自分の持ってるものだと決め付ける?」
更に問い返してこられ言葉が詰まる。更に青年はトドメを刺すように言い放った。

「まだお前は、普通にとらわれてる。お前の常識は、常識ではない。」
「ううぅ…。」
しまいには頭を下げて落ち込んでしまった。

「ちなみに白ウサギの家は、あそこだ。」
と指を差した向こうには生い茂った木の隙間から一軒家が見える。アリスは勢いよく立ち上がって青年の人差し指を握ってぶんぶん振った。
「あそこよあそこ!やったわ!やっぱりこの体で歩くのとは全然違うわね!!」
ややうっとうしそうに親指でアリスを退けて「わっ」とバランスを崩すて尻餅をついた。
「びっくりしたぁ…あ、でも私も確かに真っすぐ前に指を差していたわよ?」
青年は出会った当初からの無表情で前方を見ながら言った。

「俺はお前とは違う方向を歩いて、指差した。」
「…あー…なるほど…。」
「お前って、目の前の方向は全て北って言うタイプの方向音痴だろ。」
今度はすぐに納得したアリスに青年は容赦なく言い放つ。もしかしたら最初のことを引きずっているのか悪気がなくただ毒舌なのか。しかもまさかこんなとことんで知らない人に自分でも気づかない欠点を発掘させられたから返す言葉がない。

「冒険のしがいはあると思う。」
「いつまでたってもゴールできないなんて見てる方は楽しくないわ。」
青年になだめられたが素直に喜べなかった。

「…?」

見てる方って言ったけど、どういう意味かしら

曖昧な言葉に惑わされたがすぐに忘れる。



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