淘汰の国のアリス | ナノ

途端に背筋を伸ばし真顔で向き直るセージの意図がジョーカーにはふざけているようにしか見えなかったが特に何も感じなかった(ちなみにセージ本人は「話があるなら聞きます」の意味だったらしい)。

「…呼び止めるほどでもなかったかな。肝心の女王も倒されてしまってねぇ…」
アルカネットとセージの表情が一気に凍りついた。まさか、今まで散々の敵を薙ぎ倒してきたあの暴君女王がと二人は衝撃に戦慄した。

「嘘だ…え…さすがにマジ信じられないんだけど…」
セージは驚きが拭えない。アルカネットは「誰が彼女を倒せたものか」と実際に戦闘沙汰に遭ったアルカネットは考えるがやはり淘汰の国で思い当たる人物はいない。

「だが事実。自分達の目で確かめるがいい。今頃淘汰の国は大混乱だろう。…しかし弱ったものだ。」
ジョーカーが深いため息をつく。
「ピーターにはさすがに一国を任せることは出来ない。では一体…誰が新たに」の国を統治するか…君達、何か案があるかい?」
突然なにか提案を求められたがそんな急にぱっと思い浮かぶはずがない。
「いいえ、検討もつきません。」
「そうだ、投票でもしたらどうかな」
セージのアイデアにジョーカーが難しい顔をする。
「それはだめだ。どんな奴がなるかわからない。……ん?待てよ?…最近になって隣国への行き来が自由になった…つまり」

ジョーカーの頭に浮かんだのはなぜか「違う国」。しかし、それがいわゆる淘汰の国を維持するための苦肉の策だった。



「これはいわば和平策だ。やむを得ないが、だがしかし…」

その時、走馬鏡をふと見たルジェが慌て出した。
「ご主人様!大変ですわ!見てくださいまし!」
「どうかしたのか?」
二人を無視して後ろを振り返った。瞬間、ジョーカーは目を見開き、走馬鏡に張り付き戦いた。




「…何だと?もうあちらの住民…しかもよりによって「姫君」が…!?」

走馬鏡がぼんやり映し出していたのは夕暮れ時の樹海の中に扉がある景色。そこには狼狽える番人と、「見知らぬ少女」がいた。








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