淘汰の国のアリス | ナノ

しかしリアクションもいまいちだったのでジョーカーは大きく咳払いをして仕切り直した。
「…聞けば幼子でもわかる話。万が一側近の二人が亡くなった場合、君達が下克上するのを恐れた女王はある呪いをかけたのだよ」
黙って聞こうとしていたセージが早くも彼に物申した。
「待ってよ!…てことは、つまり…」
アルカネットの表情も暗く沈む。するとジョーカーが懐から取り出した。二つに切られたハートのジャック、そしていびつに折れ曲がってひびや穴が空いたハートのエース。それが何を意味するのかは誰もが理解した。

「こいつらが死ねば君達も道連れに死ぬ呪いさ。」
セージは言葉も出なかった。二人の死もあるが、なぜ目の前の人物は人の死をまるで喜劇でも読み上げるように言ってのけられるのだろうか。メイド達の表情もぴくりともしない。これが関わった時の長さの違い、はたまた他人というものなのか。自分達に対する女王の不信感、それよりも受け入れたくなかったのは身近な人の死だった。

「…え、し、死んだ?あの二人が?」
「死んだよ。…だが、呪いというのはあくまで建前にしか過ぎない」
茫然としたままのセージにかわって比較的冷静なアルカネットが訊ねる。
「建前…というのは?」
トランプを懐にしまい、待ってましたといわんばかりあ明るい笑顔で机に腰をかけた。




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