淘汰の国のアリス | ナノ

「…すみません。どこかお怪我は」
「ないから早くどいてよケダモノ!!」
いきり立ったルジェの刺のような言葉に苦汁を嘗めた思いあアルが痛みの残る膝を立ててその場から距離を離れた。
「…ていうかさ、ここどこ?ボク達確かあの時…」
「うん。消えた」
まだ二人の記憶には新しかった。そう、それは最期の時。お城の廊下で不条理に消えていく運命を嘆きながら、そして―…

「消えたって…てことはここは天国!?すごい、天国でも女を抱けるね!!」
「そういうことを言ったらすぐに地獄に落とされそうだからやめてよね!」
まるで漫才みたいなくだらないやり取り。そこへかろうじて逃げ切ったノアが何処から取り出したか知らない細い剣、レイピアを二人に向けた。

「お前達…何者だ!侵入者か!!」
それはすごい剣幕のノアに抵抗するどころか二人は無意識に両手をあげる。
「違います!今のも半分冗談です!ボク達はその…どうやってここに来たのもわからないし…!」
「その前に全否定しろよ!!」

一触即発の事態に、ただ一人、不釣り合いなほど笑っていた。その人物こそこの空間の主で本来一番に警戒にあたらなければならないジョーカーだった。




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