淘汰の国のアリス | ナノ

ベレー帽をかぶり、白と黒のストライプの大きなリュックを背負った学生風の少年はその拍子にひどいぐらい怯えてすごんでしまった。
「よう、お前は…確か、エリンかエリンギかそんな感じの名前の…」
久しぶりの人との対面、しかも見たことのある人物にマーシュの気分が晴れやかになったのに対し出会い頭に名前を間違われた少年はやや呆れ返る。
「エヴェリンです。…ていうか!なんでマシュマロさんあなた!こんなところで何を…!?」
信じられないといったように指をさしてくるが彼の認識具合が信じられなかった。
「マーシュだ。俺そんなふわふわしてない。」
と苦笑したあと自慢げにいいふらかした。
「実は俺、つい最近…ここの番人に就いたのさ!!」
「そんなああああぁ!!?」
エヴェリンの驚愕の声が微かにこだまする。これほどのリアクションをもらっては言った甲斐があるものだ。しかし明らかに感嘆ではない、彼もまた落胆した。

「聞いてないよぉ…、鏡の国への通路が開放されたのは聞いたけど…どうしよぉ、槍なんか持ってるよ…でも…これだけはなぁ〜 」
突然目をそらし気まずそうに独り言を呟くエヴェリンをこれはどうしたものかとそっとマーシュは声をかけた。
「…えー、うん。なんか用事があるのかな?」
次の瞬間、機敏な動きをしたと思えば重たい荷物などなんのその。地面だろうが関係ない。エヴェリンはその場で頭がついてしまうほどの土下座をした。マーシュもおもわず一歩のけぞる

「んなっ!?」
「お願いします!僕を鏡の国へ行かせて下さい!!!」
泣いて縋る如く必死に懇願する様を、まだ何も言っていないマーシュはとりあえず
「……あの〜、ならひとまず、これにサインお願いできるかな?」
とエヴェリンに「許可書」と書かれた紙を差し出した。





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