淘汰の国のアリス | ナノ

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日は夕方の赤い色に空を染めている。ただでさえ光がろくに射し込んでこない樹海なのにより一層不気味さを演出していた。その中、勿論こんな所に好きで訪れる人なんかめったにいるはずないのに、ある道に沿って一人の少年が樹海を歩いていた。

「ひええええっ!!!」
時々、ギャアギャアと尖った鳴き声を上げながら鳥が空を飛んで行く。そのたびに少年は悲鳴を上げる。
「…何なんだよ、もう…まだあいつの方が大人しかったなぁ…!」
愚痴りつつ、湿って柔らかい土に足跡を残して進む。だが少年の気は進まないようだった。

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「あーあ、にしても退屈だなぁ。」
樹海にそびえ立つ、少し古さびた大きな扉。それに面する壁などはない。ただ空間内にそれはあったが淘汰の国においてはなんらおかしなことではない。その隣の岩に、鎖かたびらに身を固め長い槍を片手に座っているマーシュの姿があった。

「いくら俺が間違えてナンパしたからってさぁ…まあ、相手が相手だっただけに仕方ないけど…彼女どころじゃない。その前にコミュ障になりそうだわ…ん?」
かなり落胆してため息をついたところ、こちらに向かって歩いてくる人影に気付き気を引き締め急いで立ち上がる。





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