淘汰の国のアリス | ナノ

ならばもう、長々としたことはやめにしよう。

ありったけの気持ちをどうやって最高に、素直に、簡単に伝えるか考えよう。

彼の言葉も聞きたいからー…


アリスはまだほとぼりが覚めきってないのか赤く泣き腫らした頬に、目の奥を刺激してくる涙を歯を食いしばって瞼で持ち上げながら、最後ぐらいは「本当に幸せだった」と思わせたかったから、彼女なりのとびっきりの笑顔でまっすぐ目を合わせて言った


「私、一生忘れない!」


とうとう感情の糸が切れて涙が零れるのを無意識に拭う。

でも、アリスにとってはこの一言が今伝えたい気持ち全てだった。後悔は、なかった。もうこれでいいんだ。だが、それとは別に伝わったかどうかを考えたらやはりまだ不安が心の隅に残ったままだ。ふと、顔をあげる。

「…ふはっ、何を…本当に最後のお別れみたいにさ…」
シフォンは、アリスが何か冗談でも言ったのかと思わせるぐらいに手元で笑いを堪える口許を隠していた。
「…帽子屋さん…?」
さすがにこれにはアリスもどうしたものかと彼を疑った。おかしなことを言った覚えは全くない。泣くとまではいかないとしても彼の反応の意図が理解に苦しませる。

だがシフォンはまだどこか、それでも今度はうってかわって穏やかに微笑を浮かべて、一歩二歩と近寄れば呆気にとられるアリスをそっと自分の胸に引き寄せた。





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