淘汰の国のアリス | ナノ

ジョーカーの身振り激しい動きやまどろっこしい言い回しに気をとられそうになったが、アリスは本当に彼が何を言っているかわからなかった。
「…え?今…なんて?」
理解したくなかった
「なんということだ。シフォン、君、言ってなかったのかい?」
言葉の列を句切りながら呆れたようにシフォンの方に目を向けた。
「大体流れでわかるだろう」
シフォンはあくまでジョーカーに冷たく返したがアリスにとっては自分にそう言い捨ててるのかと思った。
「そんなの私、聞いてないわよ!」
「だって言ってないもの」
感情的に声を上げるありがとうの顔は焦っていた。一方でシフォンはやけに冷静だ。
「…君がこの世界で「アリス」となった以上、もうこの国に居続ける必要はない。」
そうだ、物語は自身がこの国で「アリス」となることで終わりを迎える。にしたって、シフォンの言い草は辛辣でもあった。
「……そんな…」
さすがのシフォンも彼女の今にも泣き出しそうな弱々しい震えた声には自分の言い方を悔やまされる。
「…いや、言い方が少しあれだったが…君は「元の世界」に帰りたいんだろう?それを僕らが無理に止めることはないって…」
「…うん、そうよ。私は…帰らなくちゃ…でも…」
急に口下手になりかけるシフォンが涙を無意識に溢す彼女を、心配そうにどうするべきかと狼狽する。




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