淘汰の国のアリス | ナノ

「逃げたり…?そんなことできるの?」
「ああ、出来るとも。」
彼女の問いに答えながら不機嫌そうなシフォンを一瞥した(アリスには真顔に見えた)。
「その時はさすがになかったことにはならない。止まったその時から世界はそのまま進み行くのさ。」

一人長々と話していたジョーカー。何も言わずにお役御免みたいな空気感を放っていたシフォンが口を挟む。
「物語が現実をむちゃくちゃにしてはいけない。」
「そうそう!私も掟に従いほぼ無私の元の行動だからねぇ。掟は「守るために」あるのだよ。」
なぜか自慢気に(守るをやたら強調して)そう言ってのけるジョーカーにアリスはこう返した。
「掟は秩序を守るために、または自分が守るためにあるのね。」
ジョーカーはすぐに食いつく。
「素晴らしい!君は天才的だ!もしかしたら私の跡を継げ…」
「神を継げというのかい?」
またもやシフォンが茶々をいれる。しかし神などと最高位に呼ばれたことは満更でもないらしく。

「ははは。なんと罰当たりな!」
とえらく上機嫌になった。
「しかしながら残念。神は時を操ることは出来ない。やはり私は時計屋であり、そろそろアリスを帰さねばならぬ。」



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