淘汰の国のアリス | ナノ

「ある事象…少し言葉選びを誤ったな。すなわち、結末。あるアリスが死んでしまえばもといた世界は最初の地点に戻り「アリスがいなかった」世界として進みだす。」
アリスはやはり納得がいかなかった。
「でもそんなのって…」
散々と長広舌を振るったジョーカーはくるりと身を翻してそっと人差し指で彼女のとっさに閉じた唇をおさえた。

「そうでもしなかったらいろんな所で大パニックだ。」
言われてみればそうだ。各地で同じ年頃の少女が立て続けに行方をくらましては世界規模に混乱と不安をもよおすにちがいない。だがそれが果たして彼女等の存在をなかったことにしてもいいってことに繋がるのだろうか。

「そりゃあ私だって来る者達が早くこの物語を終わらせる事を願っているさ。だが私は人の死をなかったことにするは出来ない」
さぞ残念そうに肩をすくめて両手を上げるも一つ一つの仕草がオーバーなものだからいまいち胡散臭い。

「仮に存在を抹消しなかった場合。彼女等の死体だけが突然、その場に…考えただけで恐ろしいとは思わないかね」
時間が最初に戻ったというのことは、本当に一瞬もないうちに、いつの間にかついさっきまで元気だったアリスが信じられない姿でそこに転がっているのは…もしアリス(自分)が死んでいたらきっと家族は…。恐怖で身震いした。

「まあ死ぬことを前提に話したが、途中でこの国から逃げたりした場合もそうだ。」




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