淘汰の国のアリス | ナノ




扉を開けた先は、一見するとそこは図書館かと思うぐらい四方に身の丈より倍にも及ぶ本棚とその中にところ狭し隙間なしに詰められた様々な本。だが場所自体が広いので窮屈ではない。そして壁にはいたるところに、それもまた様々な種類の時計が沢山かけてあった。柱時計に目覚まし時計、鳩時計が突然窓から甲高い鳴き声とともに勢いよく飛び出してアリスは驚く。どれもそれぞれ違う時間を指してめいめいに動いていた。


噛み合わない歯車の音と不揃いな時計の針の音が不協和音を奏でる。ふと床をみれば、記憶はさなかではないが黄道十二宮を絵にしたものが描かれており、前につれて破れた紙が幾重にもちている。

更には床に、螺子やら筆やらがとっちらかっていて。部屋は明るいのだがどこか異質な雰囲気がアリスを根拠のない不安に駆り立てる。繋いだ手に自然に力がこもった。

その異質な雰囲気の中の中心に誰かがいた。向こうには巨大な巨大なコンタクトレンズのようなガラスが金色の飾り枠に嵌められてたたずんでいる。それは、妙な色に濁っていただけであった。

その近くには書斎によく見る机、地球儀や分厚い本などが置いてある。少なくともシフォンの家の机よりは片付いていた。

その机の前。そこにいた。こちらに背中を向けてただただ硝子を眺めている。





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