淘汰の国のアリス | ナノ

「…………!!?」

壁には、穴ではなく。そこにあったのは。

何とも言い難い光景というか。

「この封印を解けるのは僕だからね」
全く今まで有りもしなかった、アリスからしたら随分悪趣味で大きな扉が高さギリギリまであった。見たまんまで言うなら、窓は上に二つあり扉の色は濃い紫色。所々に星や歯車をモチーフにした装飾が引き算無用に施されてある。それと、ますますシフォンという存在がわからなくなってきた。もう紳士でも帽子屋でもない。魔術師だろう。

だがアリスには余計なことを考える余地はないのだった。

「アリス。今から会いに行く人物は「人ひとでなし」だ。もしかしたら君を不愉快にさせてしまうかもしれない。しかし時間を戻すにはどうしても君が必要なんだ。」
アリスはわかっている。そりゃあそうだ。今から奪還しに行くのは自分の時間なのだから。少女は覚悟をきめ、決心した。そう、それに彼と一緒なら大丈夫な気がした。なんだかんだで自分を一番想ってくれているのは、きっと、この人かもしれない。

「行くわ。向こうに何かあるのなら私は行く。」
「そうとなったら決まりだな」
二人は、自然に無意識にお互いの手と手を繋ぎ合いながら。アリスの方が扉をゆっくりと開けた。





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