淘汰の国のアリス | ナノ

「まあ元気そうで何よりだよ。」
そう言って軽く頭を撫でる彼の表情は安堵の色を浮かべていた。会ってそれほど経ってもないのに手から伝わる温もりと、誰かにも似た包容力。せっかく今のやり取りで薄れていたあの記憶がフラッシュバックしそうなのが怖くアリスの顔はややこわばっていた。

「…今回は僕にも責任がある。」
そっと手を離し帽子を深く被った。声のトーンが重くなったので大体彼が鍔の奥でどんな顔をしているか見当がつく。
「確かに君がこの国にいる間は「向こうの世界の時間は止まっている」はずなんだ。…しかし、おかしな事が起こったんだ。」
アリスは彼を疑うことなく真剣に耳を傾ける。

「なのに時間が動いたまま、しかもアリスがいなくなったままならまだしも…「なぜ死んでいる」?」
シフォンはむしろ自問自答していた。アリスが不安に駈られる。今の自分は何だろう。
「やっぱり死んでいるのね…じゃあ、今の私は…幽霊?」
「違う!」
突然肩を掴まれ小さな悲鳴が出る。なんだかこんな事1度あった気がした。
「アリス、君は確かにここにいる。君という命は重た…いや、つまりだな…」
衝動的反応に気をとられ行動に及んだまま余計なことを口ずさむ前にシフォンは手を退けた。





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