淘汰の国のアリス | ナノ

「…それにしても誰がどうやってここまで…」
ハートの城からは相当の距離があるはずだ。仮に真実の森への近道を使用したとしてすぐに家にたどり着くものだろうか。それに、自分は一体どれぐらいの間気を失っていたんだろう。
窓の外をふと見たら、空が夕焼けの色に赤く染まっていた。アリスはこの国の地理をまだまだ知らない。だが、動かない自分を背負うかなりしないと運べない。それだけでも重労働だから、つまりレイチェルがわざわざ…いや、ならば彼の家に運ぶもの。フランネルはまず考え難い。だとしたら…

「僕が、背負って、ここまで。」
結論は出掛けていたが意外は意外だった。
「…あの…ありがとう。…大変だったでしょう?その…」
「君ぐらいの少女はあれぐらいなものではないかね」
いともたやすく彼女が聞きたいことを見抜かれてしまった。アリスはつい頬を膨らませた。
「ちょっと、紳士がレディーに対してそれは失礼じゃないかしら!?」
しかし、シフォンはそんなアリスを微笑ましく見ながら
「僕は紳士ではない。帽子屋だから」
と返す。

開き直った。とうとう開き直った。道中何があったか知らないがついに開き直ってしまった。いやいや、紳士ではないからという問題ではないのだが。
「下手な言い訳ね」
「事実さ」
果たして帽子屋という職が真実か、彼女(の体重)が重たかったのが真実か。個人的にアリスはどちらも否定したかった。




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