淘汰の国のアリス | ナノ

シフォンは一方でじっと口を閉じたままいつアリスに声をかけにいこうかタイミングを伺っていた。
「アリス…」
彼の肩にぐったりともたれかかっているフランネルとバカみたいにコールに乗っかるレイチェル。多種多様の反応だった。

そんや彼らのことも忘れてアリスはおかしな動作をする時計の針に夢中になって見入っていた。段々と針の動きが遅くなってゆけば長針が7を、短針が12と1の間を指して動きをぴたりと止めた。

「…止まった…。12時35分、今の時間かしら?」
だとすればわざわざ丁寧に時間を正してくれたと言うのか。ならばこの時計は壊れていあアリスが手にした瞬間に直っていった…と考えてもおかしな点がある。実際に今が現時点でこの時計が示す時間なら、既に何回もその時刻を何回も通りすぎたからだ。

「やっぱ壊しちゃったのかなぁ…」
アリスは落胆した。もしもまたピーターがこの時計を見つけたら何て言うだろう。二度目の謝罪は果たして通じるか、本格的な罰を喰らうかもしれない。など考えていたら、懐中時計から螺旋が回る音がした。アリスもこれはもう故障だと悟るほかなかった。

しまいには、なぜか時計の針が正しい方向にまた先程のような物凄い速さで回りだした!

「な、何?」
いくら壊れて正常な機能を果たさないとはいえせめて安らかに眠ってほしいと心でぼやいた。


――アリスちゃん!――

「…お姉さま!?」
突然、また頭に直接話しかける。だがそれはこの国にはいない、自分の身内の声だった。少し懐かしさと安堵を覚える、が、今やそんな悠長にしている場合ではない。アリスは耳をそばたてた。
―帰ってきて…お願い…―
すがり付くような声、妹を溺愛してやまないロリーナのことだから心配で心配で仕方がないのだとアリスは焦りながら空に返した。

「大丈夫よお姉さま!今すぐ帰るから―…」





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