淘汰の国のアリス | ナノ

「アリス女王万歳!!!」
同じような称賛の声が空間を、アリスの耳を頭を侵した。やがてエコーまでかかったように聞こえる。延々と、ぐるぐると。

「アリス女王万歳!!!」
機械的にも思えてきた。おぞましさや気持ち悪さも。…アリスになるという事をこの国に来て始めに聞かされた時はそれはとても誇らしく嬉しい事だと思っていた。自身がどういった存在であれ「誰かに認められる」のが悪い気のする人はそうそういない。

「女王アリス万歳!!!」
女王を倒すのが存在証明になるのは納得がいかなかった。だがアリスは倒すを最悪の形で捉えてはいなかった。少なくとも、こんな形では。深刻に捉えるのも無駄なぐらい。
「女王アリス万歳!!!」
ひたすら続く女王コールを閉ざし思考する。自分は今ようやくこの国の女王…すなわち「アリス」になったのだ。この先淘汰の国がどうなるかなんて知るよしもない。投げやりにも出来ない。だが冷静に考えたら自分はもうじきしたら元の世界に帰れるんだ。

「女王アリス万歳!!!」
アリスを無視してアリスコール。アリスはいろんな疑問を含めて」これでいいの?
と小さく呟いた。

「女王アリス万歳!!!」
―このまま戻っていいのかしら?―
「女王アリス万歳!!!」
―でもこのままこの国にいてもいいの?―
「女王アリス万歳!!!」
―こうでもしないと私はアリスとして認めてもらえないの?―
「女王アリス万歳!!!」
―…猫さん。女王様…私アリスになったよ―
「×××××××!!!」
―ごめんなさい。ありがとう…―
「×××××××!!!」
―…私、一生忘れないから―
「×××…××…××…」


―あなたたちの事もこの国の事も…夢のような今も、絶対!―

もはや彼女の耳からは遮断されていった。歓声と感情が入り交じり、それを断ち切ったアリスは凛々しい表情で女王になって最初の命令をくだした。




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