淘汰の国のアリス | ナノ

シフォンの勇気づける言葉がアリスの良心などといったものを苦しめている。

彼女がどれだけの人を死に追いやったとか、そんな彼女やアリスの為に命を散らした人が報われないとか今までアリスを様々な形で支えてくれた彼等の願いを受け入れたいとか、怖いとか、自分が汚れたくないとか、そんなことでアリスは躊躇っているのではない。

果たしてこれでよいのだろうか。もっと和平的解決案はないのだろうか。どうしても彼女が死ななくてはいけないのか?

アリスは膝が震えたまま動けない。側で眠ったように、永久に眠っているチェシャ猫さえアリスがアリスになることを望んでいたのだろうか。痛みのあまり気失っているピーターはこのような結末を望んでいたのだろうか。彼は早く終わりを求めていたのだろうが。

するとローズマリーが何か小声でいい始めた

「これもまた解放ならば…もう…いいわ…」

アリスが見たローズマリーは、なんでかとても穏やかな笑顔だった。いや、むしろ自身の結末を悟りようやく役を受け入れたのだ。

「女王様…そんな…」
まだ現状を受け入れられないアリスは声まで震えていた。徐々に終わりが迫ってきている。

「何をぼーっとしておる!」
ローズマリーは普段通りの大声を張り上げた。
「妾は見せ物ではないぞ!!殺すなら早くその手で!!いつまで晒しあげるつもりじゃ!!」
「…女王様…私…私…には、出来ません!」
お互いに限界だった。傍観者の群は固唾を飲んで見守っている。シフォン、レイチェルは気が気でならなかった。フランネルは力を使用しているからか疲労困憊の様子だ。

ローズマリーは、最後の最期まで自分の作り上げた暴君であろうとした。でも時間が経つのとアリスの救いようもない慈悲に次第に心を覆っていた物が磨り減っていった。





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