淘汰の国のアリス | ナノ

「くそ…ッ!!雑魚が!!!」
冷静さをすっかり失ったローズマリーは怒りに任せて、感情任せで衝動的におもむろにその銃口をアリスに向けた。アリスは寸前で気付いたがもう何をするにも遅すぎた。振り向いた時には彼女はおもいっきり引き金を引いた―…

――――――……

「な、何故…!」
だが、いくら引き金を引いても銃口からはカチカチという音が鳴るだけだ。
「弾が…切れただと…ッ!?」
「アリス、下がれ!!!」
突如、どこからか切羽詰まった声がした。ローズマリーは玩具と化した幼稚な不良品を手にもったまま声の方を必死に探りアリスは咄嗟に身を屈んだ。その声を聞いたのも何故か久しぶりな気がした。アリスのわずか上を何かが空を切り裂いて飛んでいく。

キンッと、金属が割れる音がした。

「…痛ッ…」
それから後に呻き声。アリスは恐々と顔を上げた。ピーターは気を失っている。チェシャ猫は命を…いや、それよりもローズマリーはといえば、黄金の装備が粉々に崩れ落ちそこから覗く白く華奢な右腕を抱えながら苦痛に顔を歪ませていた。血が抑え込む左腕を伝って地面にこぼれ落ちる。そこには先ほどの銃と明らかに別の誰かが撃っただろう弾丸が落ちていた。

「……帽子屋さん…」
無意識に声の主の名前を呟く。
「くそ…何故じゃ…何故なのよおおぉ…!!」
ローズマリーはその場に崩れた。血の量が次第に増えるは増える。今の彼女に抗う術も女王としての威厳もない、それ以上にその姿が無様にも、はたまた悲痛にも見えた。もしかして、彼女も。

「やっと自由に…なれると私は…、私は…」
しばし泣き言を言っていたがアリスの視線を感じると表情が険しくなる。
「…何を見ておる!…貴様なんか…平和ボケした甘ったれなんかに…この国の誰の気持ちもわかってたまるか!!」

するとローズマリーはひっきりなしに叫んだ。





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