淘汰の国のアリス | ナノ

だが彼女がそれだけのために彼らを犠牲にしたとはピーター思えなかった。
しかし猶予はもうどこにもない。

ローズマリーにとって一番必要なのはアリスで、その理由をピーターが知らないわけなかった。そうだとすれば、別にここで撃たれて死んでも関係ない。死をわずかしかあと伸ばしできなかったあわれな罪人は悟った。
「ふん…まあ、なんだ逃げる気か?」
ふとアリスを見やった。反抗的に睨むその目が気に入らなかったのだ(当然アリスに逃げるつもりは一切ない)。その時、ローズマリーが銃口をこちらに向けた。正確にはアリスの腿に狙いを定めている。

「な…女王陛下…!?」
「なに、少し痛い目にあってもらわんとな…。」
引き金にゆっくり力が入る。誰が予想しただろう。あれだけ温存していた器にまさか手を下すなんて愚かなことを。よほどローズマリーは怒りに我を見失いつつあったのか。自暴自棄か、反対にその先のことを考えているのか。

「……あともう少しの所を邪魔しよって…」

アリスはこの短い時間に期待や望みは何もなかった。

「思い知れッ!!!」
金切り声を上げながら彼女は引き金にかけた人差し指に力を込めて、そして思いっきり引いた。








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