淘汰の国のアリス | ナノ

「女王陛下の野望を実現させるのが私の忠誠だ。あのお方はむしろその為に私を呼んでくださったのだ。」
「あなたの存在理由がわかりました…。彼女は恨みも沢山買ってます。それももちろんお考えになってるんですよね」
エースの役をふと思い出す。強いて言うならローズマリーからそれだけが目的で彼を呼び出したのなら彼が役に執着する理由もわかる。ただそうだとすればジャックは一体彼女に何が必要で呼ばれたのだろう。「アリスに真実を伝えるはずの」自分をなぜ、彼女が?だが今は自分の存在する意味を追及する時ではない。それはわかっている。

「逆に言わせてもらおう。お前はゲームの終わりにアリスを庇った。その時の台詞からして私はお前も真意を知っていたと思ったよ。」
「あれは…ただ彼女をかばっただけです。俺の意思で。」
それを聞いてエースは体ごと彼と面と向かう。ジャックは斜め下に視線を落とし、鍔が邪魔でも確認できた。言い訳している様子ではなかった。そんな彼に引き続き言い寄る。

「今だってそうだ。まさかお前にそこまでの忠誠があるとは思ってなかった。…ならば、貴様は私をどうしたい」
獲物を奪い合う獣のような鋭い眼光を宿した瞳で威嚇する。大概の兵士はこれだけで剣を棄てて逃げ出す者さえいる。ジャックは彼と同じ立場、ほぼ同じ歴で共に働いてきた。今更見くびることなどない。
「エースがどうしても彼等を捕まえたいならば、私は…あなたを…ここで始末する必要があるようです」
どこか濁した言い口調だがジャックも決心していた。長い袖から隠していた長剣を取り出し洗練された構えで切っ先を彼に向けた。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -